日曜日の朝6時。
私はいつものようにテレビをつけ、いつものようにその番組に釘付けになっていた。
「やっぱり、ばいきんまんって最高!!!」
いい歳して、私はこの番組をかかさず見ることにしていた。
早起きが苦手な私は、土曜の夜は毎週徹夜をし(私の住んでいる地域では、日曜日の朝6時からという嫌な時間に放送しているのだ)この番組が終わった後に寝る。
ストレスの多い生活のなかでの、唯一の癒しの時間。もてる情熱の全てをばいきんまんへ向けていた。
そして、30分後
今日も、愛らしいばいきんまんへの思いを胸に、眠りについた。
私がカバオ?!
「カバオ〜!!いつまで寝てるの?起きてらっしゃい」
・・・まだ夢の中か。カバオって、あのカバオのことだよね。そう思いながら、私はうっすらと目をあけた。
!!!!??
ここ何処???
なんか、知らない部屋にいる。いや、夢か。
そうだよね?・・・・・・もう一回寝よう。私は布団をかけ直し、もう一度眠りにつこうと・・・・
「?!何、これ〜〜〜〜〜〜〜〜」
どう見ても、手がカバオ。あれ??声が山○さんみたい・・・
やっぱり、まだ夢の中にいるんだ。夢の中でカバオになってるみたい。
「何騒いでるの?!早く起きて、顔、洗いなさい。ご飯、出来てるわよ〜」
どうやら、カバオのお母さんが呼んでる。私は深く考えるのを止めて、こんなシチュエーションを楽しむことにきめた。
だって、おいしいじゃん。このシチュエーション。
まぁ、どうせならカバオじゃなくてアンパンかドキン辺りがよかったけどね・・・
愛しのばいきんまんに逢える確率、カバオじゃ低そうだよね〜・・・
あ、でも・・・どうせ私の夢なんだから、ばいきんまんに逢うこともできるハズ!!何としてでも、生ばいきんまんに逢ってやる!!(夢だから『生』じゃないだろ)
やっぱり夢の中でもばいきんまんの事で頭がいっぱいの私は、ばいきんまんに逢う方法を考えつつ、取りあえず朝ごはんをいただくことにした。
興味あるじゃん、この世界の食事って。
カバオの家の朝食は洋風だった。
焼きたてのパンに野菜たっぷりのサラダ。コップに注がれているのは牛乳だろう。そして、カリカリに焼かれたベーコンが添えてあるスクランブルエッグ。意外と普通の食生活なんだなぁ・・・(当たり前か)と思いつつ、私は、まだ温かさの残ったパン(おそらくバターロール)を手にして、一口かじり付いた。
・・・・・・
・・・
う・・・うまい!!
これは、・・・こんなにおいしいパンなんて初めてかもしれない。いつもは何かを付けないと食べれないのに、そのままで本当においしい。
なんだろう、かめばかむほど味が出てくるって言うか・・・バターのやわらかい風味とパンの自然な甘さが食欲をそそる。
「どうしたの?カバオ。そんなに驚いたような顔をして」
「だって、こんなにおいしいなんて・・・」
「何言ってるのよ。いつもの通り、ジャムおじさんの作ったパンじゃない。おいしいのは当たり前でしょう?」
おかしな子ね、とでも言いたそうなカバオのお母さんの言葉に、思わず納得してしまった。
そっか、これが噂の(笑)ジャムおじさんのパンか。さすが、生きてるパンを作れる人は違うよな(オイオイ)普段スーパーやコンビニで買ってるパンとは雲泥の差。これがパンなんだ・・・。
こんなところで、すでに感動しまくっている私であった。
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