わき目も触れず、ドキンは走っていた。
乗り捨てたドキンUFOも、すでに見えないくらい遠くまで。
とても空腹とは思えないスピードで走り抜けていた。
しかし・・・・・・ふと気が抜けたのか、空腹を思い出したのか。勢いは落ち、道端で足を止める。
「はぁ・・・私、何やってんだろ・・・」
もっともな感想を述べ、ヘタヘタっとその場に座り込むドキン。
「おなか・・・空いたなぁ」
空を見上げると、日が傾き始めているのが見えた。長時間の絶食で、ドキンの空腹は最高潮に達していた。
動く気力も次第に失せ、ぼんやりと空間を見つめる。
そんな時、ドキンの居る方へ向かって走る1台の車があった。
閉め切った車の外にまで聞こえてくる鼻歌(かなり熱唱/笑)が、だんだんと、はっきり歌詞が聞き取れるようになってくる。
「・・・・・・あ、しょくぱんまん様?!」
そう、その車は《しょくぱんまんごう》。
食パンを配達し終わったしょくぱんまんが帰宅するところだったのだ。
ドキンはフラフラと立ち上がり、それに気付いたしょくぱんまんはドキンの手前でしょくぱんまんごうを止めて降りてきた。
「ドキンちゃん、こんな所でどうしたんですか?」
相変わらずの王子スマイルを浮かべている。
「しょくぱんまん様・・・私・・・・・・」
恥ずかしそうに俯き、うまく言葉が出てこないドキン。
ドキンの顔を覗き込むように見たしょくぱんまんは、少し表情をくもらせた。
「いけませんね、ドキンちゃん。
顔色が悪いようですが、いったいどうしたんですか?」
しょくぱんまんに心配されたことが嬉しいドキンだが、まさか今日の出来事を話すわけにもいかず、再び言葉につまった。
「無理に話さなくてもいいんですよ。
さぁ、もう日も暮れます。送っていきますから乗ってください」
と、しょくぱんまんはドキンを助手席へ促した。
ドキンは動こうとせず、俯いたまま。
「ドキンちゃん???」
いつもとどこか様子の違うドキン。
「あの・・・・・・」
思い切って何かを言おうとするが、言葉がうまく浮かんでこない。
「しょくぱんまん様は・・・・・・肥っている女の子は嫌いですよね?」
「え??」
「あの・・・私・・・・・・肥っているでしょ?」
小さな声でしょくぱんまんの様子を窺うように言ったドキンは、とても自信無さそうに見える。
そんなドキンの様子に、しょくぱんまんはフッと笑みをこぼしながら・・・
「ドキンちゃん」
「・・・・・・はい」
「ドキンちゃんは肥ってなんかいないですよ」
「でも・・・「ドキンちゃんは肥ってなんかいないですよ」
しょくぱんまんの言葉を否定しようとしたドキンの言葉を遮り、ハッキリと伝えるしょくぱんまん。
「ドキンちゃんは、とても可愛いです。
私はドキンちゃんのこと大好きですよ」
しょくぱんまんの『好き』は恋愛の『好き』ではないのだろう。
それでもドキンは、それを分かっていても嬉しくてたまらなかった。
「いつも元気なドキンちゃんが、幸せそうにご飯を食べている時の顔も好きですよ」
そう言うと、しょくぱんまんはドキンの手をとって助手席にドキンを乗せると、しょくぱんまんごうを走らせた。
そして、次の日
「ちょっと、ばいきんまん。朝ごはんまだ〜?」
朝からバイキン城に響き渡る声。忙しく朝食の用意をしているのは、ばいきんまん。
「よし、できた!
ドキンちゃん、出来たのだ〜〜〜♪」
はりきって作ったのは、昨日食べてもらえなかったのと同じ甘〜いホットケーキ。
「いっただっきま〜す♪」
幸せそうな表情で、積み上げられたホットケーキをペロリとたいらげたドキン。
「ばいきんまん、全然足りないわよ!!
もっと持ってきて〜」
その後ドキンはいつも以上の食欲魔人っぷり(笑)をはっきして、バイキン城の食料を食べつくしたとか、しないとか・・・・・・。
真相は、ドキンの胃袋の中へ。
〔完〕
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いかがでしたでしょうか??『乙女心と何とやら・・・』完結です。
なんか・・・最終話が甘いように感じるのは橘の気のせいでしょうか??
何故こんな文章に?私らしくない(原因はしょくぱんまんでしょう。)
久し振りに(WEB拍手お礼以外の)文章を書き上げました。・・・・・・半年振り????あれ?そうだっけ(汗
・・・・・・どうやら、ギリギリ5ヶ月振りってことで。
この手のノリの文章は、サラッと書ければ直ぐですが・・・ついうっかり悩むと半年経っても書きあがらないんですよね(ダメじゃん、自分/苦笑) 今回はなんとか2週間程で書きあがったのでよかったです。
実はそんな感じで書き途中のアン系文章が3作ありまして、オリジなんて・・・どんだけ筆が止まっているのか不明です(オイ
それでは、次作品が1日でも早く書きあがることを祈りつつ、後書きを終わります。
(2006・5・6)
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