ばいきんまん、せつないね
ところはバイキン城。時間はお昼前。
ばいきんまんは、いつものようにUFOのメンテナンスをしていた。
「ねぇ、ばいきんまん。あたしのUFOのメンテナンス、終わった?」
なにやら出かける仕度が整ったドキンちゃんが、ばいきんまんの作業室に入ってきた。
「もうちょっとなのだ」
ドキンちゃんの方を振り返ることもなく、作業をしながら答えるばいきんまん。自分のUFOはほったらかしで、一生懸命、ドキンUFOに向かっている。
「早くしてよね。もうすぐしょくぱんまん様がパンの配達に行く時間なんだから」
ドキンちゃんの日常、しょくぱんまんウォッチングに出かけるところなのだろう。ドキンちゃんはメンテナンスが終わるまで、紅茶でも飲みながら待つことにした。
作業室からドキンちゃんが出て行った後、ばいきんまんは、ふと手を止めた。
「なんであんな気障な奴なんか・・・・」
ドライバーを床に置いて、ばいきんまんはその場で大の字になってねっころがった。そして、大きなため息を1つ・・・
「俺様が、こんなに頑張ってるのに・・・」
ちょっぴりすねてるばいきんまんの耳に、隣の部屋から声が聞こえた気がした。
「ちょっと、まだ?」
作業室は防音が完璧にされているのに、ばいきんまんの耳には確かにそう聞こえたのだ。いつもの、ドキンちゃんの口癖のような言葉。わがままで、まるで女王様気取りのドキンちゃん。
「・・・・・・もう一頑張りするのだ」
苦笑しながら起き上がり、再びドライバーを手にするばいきんまん。
数分後、メンテナンスが完了した頃に、ちょうどドキンちゃんがやってきた。
「終わったの?それじゃぁ、ちょっと行ってくるね」
そのままUFOに乗って出かけてしまったドキンちゃん。労いの言葉もお礼の言葉も無かったが、ばいきんまんは気にすることもない。いつものことだから・・・
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